池上千寿子 presents 性教育今昔物語

“過激な性教育”バッシング、はどめ規定、包括的セクシュアリティ教育…
日本の性教育は、社会とのかかわりの中でどのように変遷してきたのでしょうか。
セックス、避妊や性感染症…
学校で教わる内容と、メディアにあふれる情報との間にギャップを感じたことはありませんか。
長年、教育現場の先生たちと奮闘してきた池上千寿子が、かく語ります。
今までの歴史をふまえて、これからの性教育を一緒に考えていきませんか。
語り手: 池上千寿子
認定NPO法人ぷれいす東京 理事(前代表)
性とジェンダーをテーマに国内外で活動を続けて50年。性の健康国際会議(WAS)金賞受賞(2011年)。「性について語ろう――子どもと一緒に考える」(岩波書店)ほか著書、編著、訳書多数。
聞き手: 丸井淑美
日本赤十字秋田看護大学 看護学部
養護教諭として働くかたわら、ぷれいす東京の活動に参加。共著に「自分を生きるための〈性〉のこと: 性と人間関係編」(少年写真新聞社)など。
YouTubeぷれいす東京チャンネルでLIVE配信!ぜひご覧ください。
開催リポート
1990年代のはじめ、教育現場では性教育に対するさまざまな課題があり、当時小学校の養護教諭をしていた私は、HIV/エイズ教育を含む性教育をどのように進めたらよいか迷っていました。池上さんの講演会で初めてお話を伺ったのは丁度そのころで、テーマはHIV/エイズと性教育。その内容は私の性に対する価値観を大きく揺さぶり、性に関する科学的で正確な知識の重要性に気づきました。池上さんの言葉に感動し、この分野で行動を起こすきっかけとなったのです。その後、ぷれいす東京の活動にも加えていただき、様々な取り組みをとおして、多くのみなさまと出会う機会に恵まれました。
2024年12月のインタビューで池上さんとお会いし、50年にわたる性教育の歴史や、科学的根拠に基づいた性教育の普及に尽力されてきたその歩みを伺いました。特に、1970年代のフェミニズム運動から始まる女性の意識覚醒や、1980年代のエイズ教育普及への挑戦に関するお話は、現在の包括的性教育(CSE)にも通じるものであり、改めてその先見性に驚かされました。
池上さんは、「性の健康は、関係性における平等や公平、自他の尊重なしには守れない、これこそ基本的人権。」と語られています。この言葉は、性教育を通じて誰もが安心して生きられる社会を目指す活動において、重要な指針となると思います。池上さんとの出会いを通じて学んだ「共に生きる社会の重要性」を胸に、非力ながらこれからもこの活動を広める一員でありたいと考えています。(報告:丸井淑美)