TOKYO AIDS WEEKS 2024 合唱ミニコンサート

■演者:TOKYO AIDS WEEKS CHOIR
■曲目:
♪ Climb Ev’ry Mountain〜『サウンド・オブ・ミュージック』より
♪ 大空
♪ POP STAR
♪ ディズニーメドレー
「TOKYO AIDS WEEKS」は、2015年にスタートしたイベントで、市民と多様な情報を共有する”情報ネットワークの ハブ” として、HIV/エイズや性感染症についての啓発を行い、感染拡大の防止に貢献することを目的としています。
今年はコロナ禍以来5年振りとなる「合唱ミニコンサート」を、11月30日(土)12:40~13:20に「第38回日本エイズ学会学術集会・総会」の3日目【市民向けイベント】として、第2会場(4階 錦)で開催します。
今回の演奏曲は、リチャード・ロジャース《Climb Ev’ry Mountain〜『サウンド・オブ・ミュージック』より》、札幌のHIV啓発イベントから生まれた名曲《大空》、平井堅《POP STAR》、そして、《ディズニーメドレー》の4曲です。
ディズニーの黄金期を支えた作詞家のハワード・アッシュマンは、1992年『美女と野獣』で2度目のアカデミー賞を受賞しました。式典では既に故人だったので、パートナーのビル・ローチが代わってオスカー像を受け、『パートナーのハワードがエイズで亡くなったこと、周囲のサポートを受けながら、最期まで創作を続けたこと』を話しています。すべて男声合唱曲ですが、セクシュアリティやジェンダーにとらわれない編成でパフォーマンスをお届けします。
なお、11月30日(土)11:40~12:00には、第38回日本エイズ学会学術集会参加者を対象とした合唱ミニコンサートが開催されます。学会にご参加の方はこちらにもぜひご来場ください。
開催リポート
TOKYO AIDS WEEKSで合唱イベントを行うのは2019年以来5年振りのこと。以前はゲイ・コーラスとして参加者をゲイ・トランス男性に限定していましたが、この復活を機にセクシュアリティやジェンダーの条件を全て外しました。その結果、より多様な方々が集まってくださり、過去最多の約60名という規模になりました。
わずか数回の練習で迎えた本番。今回は日本エイズ学会の場に学会参加者向けと市民公開向け、2つのステージを設けて頂きました。
学会参加者向けでは時間の都合上2曲、市民公開向けでは4曲全てに加えてアンコールとして「上を向いて歩こう」も歌いました。「ディズニー・メドレー」の中の何曲かを作詞したハワード・アッシュマンがHIVで亡くなり、パートナーが代わりにオスカーを受け取ったエピソードも語られました。「大空」はHIVに関する手記から生まれた札幌のユニット「ときどき通信」の楽曲ですが、志半ばで逝ってしまった方々の想いを歌声に乗せることができたのではないかと思います。ステージの上でも観客席でもたくさんの涙が見えましたから。
終わってしまえば本当にあっと言う間。怒涛のような1日は、大きな充実感と疲れと共に過ぎました。当日行われた打ち上げが盛り上がったのは言うまでもありません。規模が大きくなった分、運営にも苦労はありましたが、参加してくださったメンバーがとても協力的で非常に助かりました。来年以降も継続して開催したいと考えています。その際にはまた澄んだ「確かな空」をみんなで見たいと思っています。
(報告:加藤力也)
「楽しんで、考えて、手渡される」大友“ぐみ”香果子(プライドハウス東京レガシー 運営スタッフ)
TOKYO AIDS WEEKSで合唱メンバーを募集してる!しかも今回はセクシュアリティやジェンダーに関わらず誰でも参加OKだって!
募集のチラシを見て申し込むことを迷わず決意。以前に聞いたGay Men’sChorus for TOKYO AIDS WEEKSの歌声が忘れられず、機会があれば参加したいなぁ…とずっと思っていたのだ。そして迎えた練習初日。LGBTQ+がほどよく混ざり合った編成になるのかな?という予想は外れ、内心(うっわ…めっちゃアウェー感…)とびびったのは一瞬。合唱という共通の「好き」でつながった団の雰囲気は驚くほど暖かく、安心して練習に臨むことができたことを嬉しく思い出す。
短くも密度の濃い練習を経て、いざ本番。思えばこれまでの人生の中で一番HIV/エイズのことを考えた時間だったと思いいたる。そして、自分たちの合唱で涙している観客を目にしたとき、歌声を届けていたつもりが、さまざまな「想い」を手渡されてもいるんだ、と気づいた。
歌い終えた気持ちをどう表現したらいいだろう。充実感、達成感、多幸感。どれもあっているけどちょっとだけ違う。一つだけ言えるのは、来年もまた参加したい、ということ。
「大きな合唱の輪に入って」かつ(50代男性GAY)
朝の合わせ練習からずっと感動してました。色々な感情が一気に込み上がって来て溢れてしまいました。
当日のみの参加となり、楽譜も不揃いのまま、MAPを辿りながら何とか到着したら、ホントに大人数のクワイヤー。同じ音楽空間を共有できる人が、こんなにたくさんいる。この人たちは毎日何を考えて、音楽やセックスをどう捉えているんだろう?
よく考えて作編された素敵な楽曲ばかり。まさに自らの身体と心から出てきたオリジナル曲を歌いながら、若い頃の自分とも重なり、もう涙が止まりませんでした。
丁度いくつかの感染が重なり状態も不安定な中で、残り1枚のチラシに目が止まったのが今回の参加のきっかけでした。仕事も有り遠方なのでどうしようかとギリギリまで迷いましたが、参加させていただけて本当に良かったです。ありがとうございました。
若い頃はかたくなに誰にも告げずに生きて来て、大小アクシデントは起きながらも、今はカムアウトも自然に任せています。地元に留まることを決めてもう随分と経ってしまいました。これから生き方や恋愛セックスでどう変わるかは未だわかりません。でも今回のクワイヤーで皆さんの中で歌えたことが、安心や自信に繋がっています。また参加させてください。
「歌から伝わってきた“熱”」鹿島 真人
特に知り合いから誘われたでもなく、定期的に検査に行く病院で「合唱メンバー募集」のチラシを見つけたのは、本番の半年ほど前でした。今回初めてこの合唱に参加して、体が震えるような感動を味わいました。実は、練習でも本番でも、歌いながら何度も泣きそうになりました。私は元々音楽が好きで、自分でもピアノを弾きますし、クラシックのコンサートにもしばしば行きます。でも、今回のように、大勢のみなさんと、当事者コミュニティという立場で、たくさんの「思い」や「熱」を共有しながら歌えたことは、これまでと全く違う体験でした。多少、音程が違っていても、リズムがずれても、それよりも「思い」や「熱」によって伝わるものがあるのだと。それは歌っている自分自身にも十二分に響いてくるものでした。本番の演奏では、これまでHIVやエイズへの偏見に対して多くの人が戦ってきた歴史の積み重ねと、コミュニティの力、それを伝えるための思いのこもったストーリーがありました。その一端に私も参加させていただけて、とても光栄でした。ありがとうございました。